
当病院では、今年も、職員を対象にした、定期健康診断を実施しました。定期健康診断は、労働者の健康を守るために事業主が必ず行わなければならない検査です。これは、労働安全衛生法により、年に1回の実施が義務付けられています。
定期健康診断の目的:「異常値の早期発見」

定期健康診断は、主に数値の異常がないかを確認する検査です。
- 身体測定
- 血圧
- 血液検査
- 尿検査
- 視力・聴力
- 心電図
- 胸部レントゲン
これらの検査は、日々の生活習慣によって変動する身体の機能をチェックし、異常値を早期に見つけることを目的としています。
特に、胸部レントゲンにつきましては、「肺がん検査」と認識されることがありますが、労働安全衛生法の定期健康診断における胸部レントゲンは、「結核」が本来のターゲットとなります。次の、がん検診とは、目的が異っています。
がん検診の目的:「がんを見つける」
定期健康診断と混同してしまいがちながん検診を、見てみましょう。
定期健康診断と、がん検診は、「考え方が異なる」検査です。
- 定期健康診断:健康状態の異常値を見る検査
- がん検診:がんという疾患を、積極的に拾い上げる検査
こうして、並べると、なんとなく違うなと思えるかもしれません。がんは、「症状が出にくい、進行しやすい、確率論で一定割合は発生してしまう」疾患です。定期健康診断の数値が正常だったとしても、がんが存在している可能性は、別のこと、ということになります。
したがって、定期健康診断だけでは不十分で、がん検診は、別に受診する必要があります。
協会けんぽの健診は、”がん検診”がセットで実施される
協会けんぽに加入している方のうち、35歳から74歳の方は、以下のがん検診を含めた健康診断を補助付きで受診することができます。
- 胃部レントゲン(胃がん検査)
- 便潜血検査(大腸がん検査)
- 胸部レントゲン(肺がん検査)
- 追加オプションとなる、子宮頸がん検診、乳がん検診(それぞれ、指定の年齢帯に限られていますが、偶数年齢で補助があります)
これらは、実施することに利益があると判断されているがん検診であり、健康を損なうリスクを下げるために、ぜひ受けていただきたい検診です。
胸写には、2つの目的があり、ご本人が理解しておくことが重要です

胸部レントゲンは一見同じ写真ですが、制度上の2つの目的が重なることがあります。
労働安全衛生法→結核対策
- 法定健診
- 結核特有の影や肺尖部の変化をチェック
肺がん検診→肺がん対策
- がんを拾い上げるための胸写
- 肺の結節や腫瘤影を重点評価
- 喫煙との関連が強いがんとなりますので、喫煙者のうち高リスク者を対象に、喀痰細胞診が併用されることがあります。
この2つは、協会けんぽの一般健診(35歳から74歳)では、セットになっています。しかし、労働安全衛生法のように、がんは想定されていない”健診”があることを、ご理解いただけたらと思います。
健診+検診を利用して、健康に役立てましょう
毎日忙しいですし、健康である時には、後回しになりがちなのが「健康」です。しかし、健康診断と検診は、気づいていないことに気づくことができる場合があり、定期的に、継続して受診することは、健康の維持にとても役立ちます。
今後も、労働安全衛生に関する情報をお伝えしてまいります。

