エネルギーの正体と、体脂肪のつく仕組み

健康情報・ヘルスケアTips

前回の記事では、日本人の食事摂取基準に触れ、

  • 必要量
  • 推奨量
  • 目安量
  • 耐容上限量
  • 目標量

という言葉の指す意味や、**「カロリーの中で、必須栄養素を満たすことが大切」**というお話をさせていただきました。

今回は、その、カロリーを生み出している正体、エネルギー産生栄養素について見ていきたいと思います。

5大栄養素のうち「エネルギーを生む3つ」”エネルギー産生栄養素”

5大栄養素のうち、直接エネルギーになるのは、次の3つです。

  • 炭水化物
  • たんぱく質
  • 脂質

この3つが“エネルギー産生栄養素”と呼ばれていて、そして、それぞれが異なった役割を持っています。

炭水化物

  • 主な役割:①エネルギー源
  • エネルギー:1gあたり4kcal

炭水化物は、基本的に「燃やして使う」栄養素です。イメージは、**燃料**。
体を動かす、脳を働かせる、生命活動を維持する、ための、即戦力として活躍します。

たんぱく質

  • 主な役割:①体の構成要素として「筋肉、内臓、皮膚、血液など」を形づくる
         ②体の機能調整を担い「酵素、ホルモン、免疫など」として活動している
         ③エネルギー源
  • エネルギー:1gあたり4kcal

たんぱく質はエネルギー源にもなるのですが、本業は「体を作り、保つこと」です。
イメージは、**体をつくる材料**。
たんぱく質は、20種類のアミノ酸が組み合わさってできており、その組み合わせは、とても多様。体の材料にとどまらず、調整、防御、修復など、実にさまざまな仕事をこなしています。

脂質

  • 主な役割:①細胞膜やホルモンの材料
         ②エネルギー源
  • エネルギー:1gあたり9kcal

脂質は、エネルギー密度が高く、効率よく蓄えられるという特徴があります。
また、その構造から、細胞膜など体の一部となったり、ホルモンの材料となったりもします。
イメージは、**エネルギーを蓄える大容量バッテリー**。ただし、一部、体の材料にもなっています。

人間の体は「常に飢え」を前提に設計されている

人間は、歴史的に見ると、長い間**「いつ食べ物がなくなるかわからない」**状況の中で生きてきました。

そのため、摂取したエネルギーのうち、使いきれなかった分は、

  • 内臓脂肪
  • 皮下脂肪
  • 肝臓脂肪

として、脂肪細胞に蓄えられる仕組みになっています

脂肪細胞は、余剰エネルギーを受け取ると大きくなるので、

  • お腹まわり
  • お尻
  • 顔と顎

が、大きくなるという、見た目の変化として現れます。

エネルギーの「出入り」で体は決まる

消費エネルギーは、性別、年齢、筋肉量、運動量で変わり、

  • あまり動かない人
  • 普通に動く人
  • よく動く人

で違いはあるものの、“1日あたり、約2,000~2,600kcal”ほどを消費しています。

ここで、重要なのは、シンプルな事実です。

「摂取エネルギー」-「消費エネルギー」=「体脂肪の増減」

プラスなら、脂肪は増え、マイナスならば、脂肪は減ります。

運動と筋肉があると「エネルギー管理は楽になる」

実は、1日の消費カロリーの大部分は、運動ではなく、基礎代謝です。

運動で消費できるカロリーは、頑張っても、全体から見ると、ほんの一部分にすぎません。

しかしながら、運動や筋肉には、基礎代謝という「消費のエンジン」を大きくする作用があります。

筋肉が増えると、安静にしている時間でも、消費されるエネルギーが増え、日常全体の消費量が底上げされます。

そして、基礎代謝は、生きている限り止まりません。24時間ずっとエネルギーを消費し続けます。

気付きにくいのですが、規則正しく朝昼晩の3食をとっていたとしても、摂取は3回なのに対し、消費は継続的にずっと行われています。摂取と消費にはいつも、ズレが生じているのです。その差を調整するために、糖から作られ肝臓や筋肉に一時的に蓄えられるグリコーゲンとともに、脂肪の貯蔵機能が毎日働いています。

運動をする、筋肉をつける、という行動は、「一気にエネルギーを消費する手段」に見えます。しかし、その本質は、エネルギーの出し入れの総量を増やし、エネルギーの出入りの仕組みを使用する頻度を高めること。
その結果、エネルギーの出し入れがよりスムーズに行えるような体へと、全体が整っていくのです。

蓄える、使う、のやり取りがスムーズになると、食事と運動の歯車がかみ合ってきます。
その結果、足りないものを食べ、充足したら動くといった循環を、体感しながら行動することができるようになります。

日本人の食事摂取基準が示すエネルギー配分

日本人の食事摂取基準では、総エネルギーに対する目標量として、次の値が示されています。

炭水化物:50~65%(摂取エネルギーに対して)
たんぱく質:13~20%(摂取エネルギーに対して)
脂質:20~30%(摂取エネルギーに対して)

どうでしょう。
皆さんの、感覚と合っていますでしょうか。

2,200kcalを例に計算してみると

例えば、

  • 朝食:400kcal
  • 昼食:900kcal
  • 夕食:900kcal

合計、2,200kcal/日を摂取する、と仮定して、計算してみましょう。

炭水化物

  1. 50~65%→1,100~1,430kcal
  2. 1g=4kcal
  3. 1.÷2.=「275~357.5g」

たんぱく質

  1. 13~20%→286~440kcal
  2. 1g=4kcal
  3. 1.÷2.=「71.5~110g」

脂質

  1. 20~30%→440~660kcal
  2. 1g=9kcal
  3. 1.÷2.=「48.9~73.3g」

…正直、どうでしょう。

実際の食事では、水分、調味料、調理法も絡みます。
炭水化物300g/日、たんぱく質100g/日、脂質60g/日を、日々、正確に管理するということは、現実的なやり方とはいえません

だから「g管理」より、現実的なやり方を

おすすめしたいのは、次のアプローチです。

  1. 今の食生活、運動習慣を基準にする
  2. 足りなさそうなものを「足す」という考え方
  3. 過剰そうなものを「引く」という考え方
  4. “変化を見ながら”微調整する

例えば、

  • たんぱく質が少なそう→主菜を1品「足す」 (※主菜とは、肉、魚、卵、大豆料理などからなるメイン料理のことです。)
  • お腹まわりが気になる→今できていない有酸素運動を週1回「足す」

まずは、このくらいからで十分です。

一番やってほしくないこと

それは、いきなりMAXをやること

  • いきなり限界まで食事を削る
  • いきなり限界まで運動する

これは、無茶です。

食事は、カロリーだけではなく、今回、扱わなかった、ビタミン、ミネラルも必要です。
ギリギリの食事では、確実に、どこかが欠けます。

運動も同様で、現状を無視した負荷は、オーバーワークの原因になります。

今を尊重し、知識は「改善」のために使う

今、生きているということは、今の食事と今の生活で、一応は回っているということです。

今回お伝えした内容は、「正解はこれだ」というものではなく、現状を少し良くするための知識として、ご自身に合わせて、活用していただきたくて作成しました。

そして、ぜひ、日本人の食事摂取基準を読んでみていただきたいです。

数字は、厳密でなくていいのです。なんとなくであっても、理解できれば、それで、十分価値があります。

今後も、栄養に関する情報を提供してまいります。

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