-長寿社会を生き抜くための、最小構成ユニット-
日本は、世界有数の長寿国です。しかし「長生き」と「よく生きる」は同じではありません。
医療が発達し、寿命は延びましたが、健康寿命(介護を受けずに自立して暮らせる期間)とのギャップは依然として存在しています。
ここで、重要になるのが「ウェルビーイング」です。
ウェルビーイングとは何か

ウェルビーイングとは、単に病気がない状態ではありません。
身体的、精神的、社会的に満たされた状態を指します。
つまり、
- 体が動く
- 気力がある
- 人とつながっている
この3つが揃って初めて「よく生きている」と言えます。
そして、この、土台をつくるのが運動と栄養です。
派手な自己啓発でも、特殊なサプリメントでもありません。
「運動と栄養」。地味ですが、圧倒的に再現性が高いのです。
長寿の鍵は「筋肉」

高齢期の最大のリスクの一つは、サルコペニア(加齢による筋肉減少)です。
筋肉は、単なる動力ではありません。
- 血糖コントロール
- 代謝維持
- 転倒予防
- 体温維持
- ホルモン分泌
を、担っており、生命維持装置の一部として働いています。
筋肉が減ると、
動かない ⇒ 代謝が落ちる ⇒ 疲れやすい ⇒ 外出しない ⇒ 孤立する
という、負の連鎖が始まります。
逆に言えば、筋肉を守ることは、ウェルビーイングを守ることにつながっているということです。
運動は「5分」でいい

完璧主義は最大の敵です。
運動習慣は「最小単位」で設計するのが合理的です。
- 外を5分歩く
- 腹筋を1回やる
- 階段を使う
このレベルで十分です。
筋肉は刺激に反応します。
やらないより、1回。その1回が、結果を動かします。
継続できる強度で、頻度を上げる。
これが、長寿戦略です。
栄養は「腸」から考える

運動だけでは、足りません。
筋肉を維持するには、
- たんぱく質
- ビタミン
- ミネラル
- 食物繊維
が必要です。
特に重要なのが、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを効率よく吸収できる状態を保つ、“腸内環境”です。
その、腸内環境を整えるために重要なのが、食物繊維です。
食物繊維とは、野菜などの植物の細胞壁に多く含まれる成分で、多くは炭水化物の一種である多糖類からなります。人の消化酵素では、分解できないため、小腸では吸収されず、大腸まで届きます。
大腸に届いた食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、腸内細菌は、短鎖脂肪酸という物質を生産します。短鎖脂肪酸は、腸の炎症を抑え、免疫機能の調整にも関与しています。
また、脳と腸は「腸脳相関」と呼ばれる双方向ネットワークでつながっており、腸では、体内セロトニンの約90%が作られています。腸の状態は、神経伝達物質のバランスに影響を与え、気分の安定とも深く関係しています。
つまり、
野菜を食べる ⇒ 腸が整う ⇒ 代謝が安定 ⇒ 気分が安定 ⇒ 行動が安定
ウェルビーイングは、腸からのアプローチも大切です。
運動×栄養×社会参加

さらに重要なのが社会性です。
畑仕事、ウォーキングイベント、料理教室。
体を動かし、食材に触れ、人と話す。
これが、最強の組み合わせです。
仕事、運動イベント、料理などのさまざまな活動を通じて、筋力の維持、栄養状態の改善、社会的つながりの維持、を図ることができます。社内外との接点を持つことも、ウェルビーイングを支える重要な要素です。
ウェルビーイングは、個人の努力だけで完結するものではありません。どのように働き、生活環境を整えるかという、「設計」の問題でもあります。
まとめ

長寿社会で必要なのは、特別なことではなく、
- 小さな運動
- 質の良い栄養
- 人との接点
この3つを、回し続けること。
医療が重要な役割を果たす一方で、日常生活の中で「予防」に取り組むことも、これからの社会ではますます価値を持ちます。
予防は、特別なプログラムではなく、日々の積み重ねで決まります。
派手さはありません。しかし、再現性は高い。
今日、5分歩く。
最初の一口は、野菜を食べる。
その一歩が、治療を必要としない時間を少しでも延ばし、未来の健康寿命を支える力になります。
今後も、健康に関する情報をお伝えしてまいります。
