9月7日の労働安全衛生委員会では、睡眠と、日中のうっかりについて取り上げました。
睡眠というと、夜にしっかり眠れているかどうか、という話に聞こえやすいかもしれません。
ただ今回考えたのは、眠れていない状態が、日中の確認漏れや判断の遅れとして現れることがある、ということでした。
これは、仕事の場だけの話ではありません。
買い物、運転、家事、会話など、日常の中でも同じことが起きることがあります。
今回は、眠りが足りていない日が続いたときに、暮らしの中で何が起きやすいかを、一般の方の生活に引き寄せてお伝えします。
睡眠不足は、一晩だけでは終わらないことがあります

睡眠不足と聞くと、昨夜あまり眠れなかった、という一日の話を思い浮かべることが多いかもしれません。
一方で、少しずつ足りない日が重なると、体や頭の余裕は、じわじわ減っていくことがあります。
こうした積み重なりを、睡眠負債と呼ぶことがあります。
借金のように、一日では目立たなくても、続くと重荷になりやすい、という意味です。
やっかいなのは、慣れてしまうことです。
毎日その状態で過ごしていると、「自分は大丈夫」と感じやすくなります。
本人がそう思っていても、集中や判断は落ちていることがあります。
また、休日に長く寝て取り返す方法は、その場では楽になったように感じることがあります。
ただ、起きる時刻が大きくずれると、生活のリズムが乱れ、休み明けにかえってだるさが残ることもあります。
眠れた時間だけでなく、休めた感じがあるかどうかも、見ておきたいところです。
うっかりは、気のゆるみだけで起きるわけではありません

眠りが足りていないときの怖さは、いきなり大きな失敗になることよりも、その手前の小さなズレとして現れることにあります。
確認したつもり。
聞いたつもり。
置いた場所を忘れる。
いつもの手順を飛ばす。
危険に気づくのが遅れる。
反応が遅れる。
イライラして、言葉が荒くなる。
こうしたことは、気をつけていなかった、という一言では説明しきれないことがあります。
疲れ、焦り、慣れ、途中で作業が途切れたことなどが重なると、同じ人でもミスは出やすくなります。
眠れていないことは、その土台のひとつです。
だからこそ、「もっと気をつけよう」と自分を責めるより、いま眠れているかを見てみる方が、現実的です。
日中の強い眠気は、体からの知らせです
日中に強い眠気がある時は、気合の問題として片づけるより、体からの知らせとして受け止めた方がよいことがあります。
会議や会話の途中で、強い眠気が出る。
運転中に、まぶたが重くなる。
作業の途中で、集中が切れる。
同じ文章を、何度も読み返す。
小さな忘れ物や、確認漏れが増える。
休日に、極端に長く寝てしまう。
こうしたことが続く場合は、睡眠の時間、眠りの質、疲れ、ストレス、体調のどれかが重なっている可能性があります。
特に、車の運転や、刃物、火、高い場所など、一歩間違えると危ない場面では、眠気を軽く見ないことが大切です。
「まだ大丈夫」と感じていても、判断力が落ちていることがあります。
なぜ、この時期に睡眠を見直すのか

9月は、暑さのピークが過ぎても、体の疲れが残りやすい時期です。
夏休みや行事で生活のリズムが乱れやすい。
暑さで、眠りが浅くなりやすい。
朝晩の気温差で、体調が揺れやすい。
そうしたことが重なると、秋に入ってからも、日中の余裕が戻りにくくなります。
8月には、残暑の疲れとして、眠る環境や休み方についてお伝えしました。
今回見ているのは、そこから一歩進んで、眠れていないことが、日中のうっかりとして現れる面です。
季節の切り替わりは、一度、自分の眠りを見直す機会にもなります。
今夜からできることは、小さくて構いません

睡眠を整えようとすると、早く寝なければ、と考えがちです。
寝る時刻は大切ですが、朝と日中の過ごし方も、夜の眠りに影響します。
起きる時刻を、日によって大きくずらしすぎない。
朝に、光を浴びる。
日中に、軽く体を動かす。
夕方以降のカフェインを控える。
寝る直前のスマートフォン、飲酒、食べ過ぎを見直す。
休日の寝だめを、大きくしすぎない。
一度に全部を変える必要はありません。
まずは一つだけ。
今夜、寝る直前まで持っていたスマートフォンを、少し早めに置く。
それだけでも、眠りに入る前の時間は変わります。
強い眠気や、休めた感じのなさが続く場合は、無理に我慢せず、身近な医療機関に相談することも考えてみてください。
よく眠ることは、翌日を気持ちよく過ごすためだけではありません。
確認する、判断する、安全に動くための土台でもあります。
眠れていない人を責めるのではなく、早めに気づいて、無理を少し減らす。
その見方を、日常の中でも持っておきたいと思います。
今後も、暮らしの中で見直せる健康の話を、少しずつお伝えしてまいります。
参考情報・出典
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
