飯塚でも、朝晩は袖がないと肌寒い季節になってきました。部屋の掃除、外の落ち葉掃き、洗濯に、夕飯の買い物。日々、私たちは体を動かしています。これは、運動と呼んでよいのでしょうか。
運動する時間がない、運動は苦手。そう感じる方にも、日常生活に、体を動かす機会はあります。ただし、家事は運動そのものではありません。

「運動」と「生活活動」は、別です
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、体の動きをまず身体活動と呼びます。安静にしているときより多くのエネルギーを使い、筋肉を動かす活動のすべてです。
そして、その中身は、二つに分かれます。
生活活動は、家事、仕事、通勤、通学など、日常生活に伴う動きです。一方、運動はスポーツや体力づくりのように、健康増進や体力増強のために計画して定期的に行う活動です。
掃除や買い物は、この分類でいうと運動ではありません。生活活動ということになります。身体活動ではありますので、体を動かしていない、ということにはなりません。
家事でも、強さは揃っていません

掃除や買い物も、身体を動かす時間に
身体を動かすというと、ウォーキングやスポーツを思い浮かべるかもしれません。でも、毎日の掃除や買い物も、身体活動の一つです。
成人では、歩くのと同じくらいか、それ以上の強さで、1日60分以上身体を動かすことが勧められています。歩数では、1日約8,000歩に相当する目安です。
この60分には、運動だけでなく、一定の強さがある家事なども含まれます。まずは、普段の生活でどれくらい身体を動かしているか、見直してみましょう。
家事の強さを、数字で見てみると
活動の強さを表す単位に「メッツ」があります。静かに座っているときが1メッツ、普通の速さで歩くときが3メッツです。
身近な家事を比べると、次のようになります。
- 普通の速さで歩く:3メッツ
- 掃除機をかける・床を掃く:3.3メッツ
- 風呂掃除:3.5メッツ
- 洗濯・立ってする料理の準備:2.0メッツ
- 皿洗い:1.8メッツ
掃除機がけや風呂掃除は、歩くのと同じか、それ以上の強さです。買い物中も、普通の速さで歩いていれば3メッツに当たります。
一方、料理や皿洗いは3メッツに届きません。それでも、座っている時間を減らす機会になります。
以前ご紹介した「今より10分多く身体を動かす」という工夫に加えて、今回は、すでに行っている家事にも目を向けてみようというお話です。
高齢者の目安は、1日40分・約6,000歩
高齢者では、歩くのと同じくらいか、それ以上の強さ(3メッツ以上)の身体活動を、1日40分以上行うことが勧められています。歩数では、1日約6,000歩に相当します。
ただし、年齢だけで一律に決めるものではありません。体力や健康状態に合わせることが大切です。

6,000歩が難しければ、今より10分多く身体を動かすことから。掃除や料理、洗濯などを通じて、座る時間を少し減らすのも一つの方法です。
数字は目安。自分に合う量から
8,000歩や6,000歩は、全員が同じように達成しなければならない数字ではありません。
まずは、できそうなことを、今より少し多く。その日の体調に合わせて取り組み、調子が悪い日は無理をしないようにしましょう。
持病がある方は、かかりつけの医師に相談しながら、自分に合う活動量を考えてください。
座りっぱなしは、長くしすぎない
座位行動とは、起きている間に座ったり、横になったりして過ごす、エネルギー消費の少ない行動を指します。テレビを見る、座ってスマートフォンを操作する等がその例です。1.5メッツ以下と評価される身体活動です。
ガイドは、この時間が長くなりすぎないように、と注意を促しています。立つことが難しい人も、じっとしている時間を少しでも短くすることが大切だと書かれています。座ること自体がよくないという意味ではありません。
今より一つだけ

いつもの家事を、すべて運動のように意識する必要はありません。すでに行っている家事や日常生活の中で、今より少しだけ体を動かす機会を増やしてみる。それくらいの小さな工夫から始めてもよいのです。
座っている時間の一部を、軽い家事や歩行に置き換えてみる。近くの店まで少し歩く。無理のない範囲で階段を使ってみる。短い時間の積み重ねでもよい、とガイドの「よくある質問と回答」にあります。20分続けなければ意味がないと型にはめる必要はありません。
特別な運動の時間だけが、体を動かす機会ではありません。掃除、洗濯、買い物のような生活活動にも、健康づくりの入口はあります。今の体調に合わせて、一つだけ、今より動かしてみてください。
参考情報
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」(令和6年1月公表。定義、成人・高齢者の推奨、座位行動、生活活動のメッツ表)
