前回は、走る種目と団体ダンスを、体の負担と整え方から見ました。
後編では、力を使う種目と、一日を通して見ておきたい水分、食事、休み方を取り上げます。
学校や地域によって、並ぶ種目もルールも違います。
ここで見るのは、よくある競技の一例です。
勝ち方より、腰、肩、連続出場など、体の合図を見ていきます。
綱引き 腰、膝、肩へ、負担が寄りやすいことがあります

綱引きは、ロープを挟んで、チームで引く種目としてよく見受けられます。
見た目は力比べでも、脚で踏ん張る、腰を落とす、握るなど、複数の作業が同時に起きることがあります。
腕だけで引こうとすると、肩と腰へ負担が寄りやすい、と感じる方もいるかもしれません。
健康の目線では、腰、膝、肩、手のひらに注意が必要です。
後ろへ倒れる、ロープで手を擦る、息を止めたまま引く、ことにも気をつけてください。
腰に不安がある方、手や肩を痛めたあとの方は、後方で、無理なく合わせるという方法もあります。
終わったあとに、手がしびれる、腰が伸びない、めまいがある、というときは、次の種目を急がず、休息を挟んでください。
短い勝負でも、踏ん張っているあいだは汗が出ます。
水分は、競技の始まる前、終わった後の両方で十分補給しましょう。
玉入れ 同じ腕の繰り返しと、上を向き続ける負担

玉入れは、かごへ玉を入れる数を、チームで積み上げる種目としてよく組まれます。
投げる、拾う、しゃがむ、が短い時間に繰り返されることがあります。
健康の目線では、上を向き続けることと、同じ腕だけを使い続けることに、負担が寄りやすいことがあります。
肩や首に痛みがある方は、無理に球を投げず、拾う担当に回る方法もあります。
短い競技でも、繰り返し動くと汗は出ます。
終わったあとには、水分を取ることを思い出してください。
誰が投げるか、といった役割分担は、その時々で違います。
体の痛みに目を向け、役割を入れ替えながら、勝ち方の話だけではなく、無理をしていないか、一つ考えてください。
応援合戦 声と、立ち続ける疲れも、体の負担です

応援合戦は、声や動きをそろえる種目として組まれることがあります。
点数化されることもありますが、声の大きさや揃い方の評価は、運動会によって様々です。
一見、運動に見えなくても、屋外で声を出し、立ち続けるのは、体力を使うことがあります。
健康の目線では、喉の渇きと、立ち続ける疲れが出やすいです。
声を出し続ける前後は、水分を取ってください。
胸が苦しい、声がかすれて痛みがある、めまいがある、というときは、列の中で無理を続けない方がよいでしょう。
見学する家族も、日向に立ち続けると、本人以上に負担がかかることがあります。
俵もち上げ耐久 持つ力より、やめ時を見る力

俵のもち上げ耐久は、学校より、地域の運動会で見かけることが多い種目です。
重量物を持ち上げて、どれだけ保てるかを時間で評価する形が、よく見られます。
一瞬持ち上げることと、持ち続けることは、同じ「力」でも、腰や膝への負担のかかり方が違うことがあります。
健康の目線では、腰と膝への負担が大きい種目の一つです。
持病がある方、腰に不安がある方は、参加しないのも一つの方法です。
顔が赤くなりすぎる、視野が狭くなる、手が滑る、腰に鋭い痛みが走る、というときは、安全に下ろして、競技を中止することが大切です。
息を止めたまま持つことも、体には負担です。
持ち方のコツより、やめ時、引き際を意識していただきたいと思います。
総合得点 同じ人が、連続で出ないかを見ます

多くの運動会では、種目ごとの点数を足して、赤組、白組などの勝敗を決めることがあります。
どの種目に誰を出すか、という割り振りは、状況に応じて変わります。
健康の目線で見たいのは、勝ち方ではなく、同じ人が連続で出続けていないか、です。
点数は魅力的でも、体の回復には時間が要ります。
特に、走った直後の綱引き、重量物を用いた種目は、間隔を空けた方が安全なことがあります。
「あと一点」より、「今の体で出られるか」を、本人と周囲で慎重に判断してほしいと思います。
当日、小さく整えておきたいこと

最後に、参加する人も、見る人も、共通して見ておきたいことをまとめます。
朝ごはんは、量より、食べ慣れたもので十分です。
おにぎり、パン、汁物など、胃に負担の少ないものが向くことがあります。
当日の朝に、普段食べないものを新しく試す必要はありません。
水分は、のどが渇いてからまとめて飲むより、種目の合間に少しずつ取る方が、体に馴染みやすいことがあります。
普段の水分補給は水やお茶などを基本にし、汗を多くかく場合は、食事や状況に応じて塩分・電解質も補います。
ただし、水分や塩分の制限がある方は、一般論より、主治医の指示を優先してください。
日陰、帽子、休憩。見る側にも、同じものが要ります。
子どもは夢中になると、疲れていても走り続けることがあります。
高齢の方は、暑さやのどの渇きを感じにくいことがあります。
どちらも、「まだ大丈夫」より、早め早めの休息が安全を守ります。
めまい、頭痛、吐き気、ひどいだるさがあるときは、次の種目や応援を後回しにしてください。
よく眠る、朝食べる、日陰で休む。地味なことですが、運動会の成績より先に、体を支える土台です。
眠りが足りていない日のうっかりも、こうした一日では出やすくなります。
合図を聞き落とす、順番を間違える、足元を見ない。
勝負の前に、眠れているかも、見ておきたいところです。
前編では、走る種目とダンスの、短い全力と待ち時間の過ごし方を見ました。
後編では、力を使う種目、連続出場、一日を通した水分と休息について見ました。
勝ち負けの結果より、自分の体が、どの種目で無理をしていたかに気づけると、翌日以降の過ごし方も変わります。
今後も、暮らしの中で見直せる健康の話を、少しずつお伝えしてまいります。
参考情報・出典
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
- 厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料」
- 環境省「熱中症予防情報サイト」
