脚立の一番上、立ってはいけないのはなぜ?――年末前に知りたい安全な使い方

労働安全衛生

年末になると、高いところのホコリ、庭木、照明の電球と、高い場所への仕事に手が伸びます。ここで活躍するのが脚立です。そして、あと少しで届くと脚立の一番上に足をかけたくなる場面が訪れます。しかし、それは、危険です。

天板は、足場ではありません

厚生労働省と労働局の脚立の点検表では、天板の上や、天板をまたいでの作業をしないという確認項目が記載されています。作業に使う踏み段は、上から2段目以下です。3段目より下のほうがよりよいとも書かれています。

体を天板や踏み段に当てて安定させるという項目もあります。これは天板に乗ることではなく、踏み段に立ち、身体を天板や踏み段に当てて安定させるという意味です。作業は、頭の真上で行わないともあります。届かせようとして体が脚立の外へ出て、重心が不安定になりやすいからです。荷物を持ったままの、昇り降りも推奨されません。

天板に乗る体勢は、体重を預ける段がなく、足の裏のみが支えられた状態になっています。電球や枝へ手を伸ばすたびに、体重が脚立の外側へ揺れ動き、重心が不安定な状況になります。開き止めがかかっていたとしても、重心が揺れていては、ふいに崩れたバランスを支えることはできません。

厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」には、窓を拭く作業で脚立の天板に乗り、脚立の脚が地面との段差でぐらついて、転落しそうになった事例が記載してあります。転落には至っていませんが、そこには、段差を確認すること、四本の足を水平にすること、開き止め金具をかけること、天板に乗らないこと、が注意事項として書かれています。

これは、脚立と呼ばれる製品の話です。天板に乗って使う作業台もありますが、それは別の用具です。表示や取扱説明書でその用具がどちらなのかを確認し、適切に使用してください。

平らな場所と、開き止め

点検表では、脚立は安定した場所に置き、開き止めに確実にロックをかけます。ねじやピンの緩み、外れ、踏み段の明らかな傷みも確認しておきます。

労働安全衛生規則では、職場で使う脚立について、脚と床の角度を75度以下にし、折りたたみ式は角度を保つ金具を整える、とされています。ご家庭の脚立が、同じ条文の脚立にあたるかは分かりませんが、注意すべきところは共通しています。傾き、濡れ、段差の上には設置しない。開き止めがかかっているか、使用するたびに確認することです。

登る前に見ること

脚立に登る前に、脚立そのものと、床の状態と、使用する高さが適切か確認します。靴は、脱げにくく、滑りにくいものか。職場の点検表には、ヘルメットも入っています。家庭でも、脱げにくく滑りにくい靴を履き、ヘルメットを着用するなど、転落やケガを防ぐ備えをしましょう。

職場では、高さ2メートル以上で墜落の恐れがある場合、原則として作業床を設け、設置が困難な場合には墜落制止用器具の使用などの措置が必要です。ご家庭の電球交換は同じように扱えませんが、足をかけるその段で体が安定するかは十分確認してください。

届かないときは、脚立を足さない

岩手労働局のページでは、はしごや脚立を使う前に、まずは使わずに済ませられないか、次に手すりの付いた脚立や可搬式の作業台、高所作業車に替えられないかを考えるとされています。ご家庭で使用する際には、高い木の剪定や天井近くの照明の交換のためでも、脚立を複数組み合わせて行うという危険な行為は避けましょう。用具を替える、その作業をやめる、業者に頼む、という選択肢があります。

手が届いたとしても、安全ではないかもしれません。一番上に乗れば届くのかもしれませんが、最良の手段ではないかもしれません。開き止めはいつも確認する、天板には乗らない、届かなければ他の選択肢を検討する。安全を考えたときには複数の視点で考えてみることも大切です。

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参考情報

  • 厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署「脚立を使う前に」(作業前10のチェック。資料の表記は令和3年3月。天板の上や天板をまたがない、2段目以下、開き止めのロック、安定した場所)
  • 岩手労働局、花巻労働基準監督署「建設業対策(墜落・転落災害防止)」の「はしごや脚立は適切な方法で使用しましょう」
  • 厚生労働省「型枠施工業務 安全衛生のポイント 脚立・可搬式作業台」(2020年3月。可搬式作業台は脚立と別の用具)
  • 厚生労働省「職場のあんぜんサイト」ヒヤリ・ハット事例(墜落・転落)。窓ふきで天板に乗り、段差でぐらついて転落しそうになった事例。
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